事業戦略デジタル変革を起こすには

Executive Summary

デジタル変革とは、技術を使って、これまでに行ってきたのと同じことをすることではありません。以前にはできなかったことを行うことを指します。デジタル変革のテーマは、「心の状態」と「一連のツール」です。それを言葉にするだけでは不十分です。入念に計画する必要があります。

Executive Summary

デジタル変革とは、技術を使って、これまでに行ってきたのと同じことをすることではありません。以前にはできなかったことを行うことを指します。デジタル変革のテーマは、「心の状態」と「一連のツール」です。それを言葉にするだけでは不十分です。入念に計画する必要があります。

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「デジタル変革」は、近年、いたるところで耳にする流行語の1つとなっています。しかし、同時にこれは、誤解されることの多い用語でもあります。

というのも、デジタル変革とは、これまで繰り返し行ってきたことを、単に少ない時間とコストで効果的に行うためにテクノロジを利用することではありません。デジタル変革とは、テクノロジを利用して、それまで不可能だったこと――つまり、増収を促す新しい製品やサービスを生み出すこと――を実現することなのです。

その典型的な例にAmazonがあります。Eコマースのパイオニアである同社は、書籍の販売から始めて、その後、ありとあらゆる商品を販売するようになりました。しかし、Amazonのもっとも価値ある商品は、2006年にAmazon Web Services(AWS)として世界で売り出された自社のITインフラストラクチャといっていいでしょう。昨年、同社のAWSによる収益はEコマース事業によるものを超え、110億ドルに達しました

では、Amazonの成功の鍵はどこにあるのでしょう? それは標準化と自動化です。AmazonはAPIとWebサービスを利用することで、人が生じさせる遅延を減らすことに成功し、これによって、コストを抑えつつ、需要に応じてすばやい拡張に対応できるようになりました。

110億ドル

2015年のAWSの売上高は、AmazonのEコマース事業による総収入を上回る110億ドル

デジタル変革とは、単にIT業務を近代化したり、あらゆるものをクラウド化することではありません。ビジネスプロセスの改善から、ビジネスバリューの向上へと、考え方の焦点を移すことです。しかし、IT部門がビジネスにおける戦略的パートナーになるためには、まずは業務のあり方を根本から変える必要があります。

これさえあれば成功できるというルールやロードマップは存在しませんが、効果的なクラウド設計に役立つ基本原則がいくつかあります。

1. 徹底的な自動化を行う

多くのIT部門が、クラウド対応のアプリケーションやサービスを手動でプロビジョニングするのに、リソースを過剰に費やしています。これは、いまだにGUIやコマンドライン・インターフェイスによる旧式の方法が使われているためです。デジタル変革に向けた第1歩として、REST APIや、テンプレート、スクリプトを用いて、これらのプロセスを可能なかぎり自動化する必要があります。

2. 可能なかぎり標準化を行う

毎回、初めてのことを行っていたのでは、プロセスを反復することも、漸進的な改善を図ることもできません。組織の正確なニーズに合わせて調整されたカスタム・ソリューションがあれば、同じことを繰り返し行い、まったく進展が見られないという状態から抜け出すことが可能です。ある程度のカスタマイズは避けられないかもしれませんが、可能なかぎり設定を標準化し、ユーザの選択肢を少数のサービスメニューに限定するようにしましょう。

デジタル変革とは、単にIT業務を近代化したり、あらゆるものをクラウド化することではありません。

社内ユーザを驚かせ、喜ばせたいという考え方が根付いている組織では、大々的な転換が必要になります。まずは、どれだけの時間やリソースがかかろうとも、ユーザが直面するあらゆる問題を解決することを誇りとしているIT部門による抵抗を克服することから始めなければなりません。

3. 人材の開発を行う

クラウドアーキテクトであれば、より効率的かつ統合的な手法でテクノロジを使いこなすことができるでしょう。しかし、すべての人材がそのためのノウハウを身に付けているわけではありません。ITインフラストラクチャの自動化には、それなりの代償が伴います。新しいツールやスキルセットが求められ、スタッフのトレーニングを行ったり、必要なスキルを持つ人材を雇用するための投資も必要になります。

それに伴い、チームの構成も変えなければなりません。特定の機能を中心に組み立てられた垂直統合型チームではなく、DevOpsモデルに従い、ビジネスが直面する課題に対応するアドホックチームを編成する必要があるかもしれません。テクノロジだけを変えても、おそらくうまくはいかないでしょう。チームについても革新的な視点で捉え、社内のほかの部門との関係を見直すことが必要です。

The State of Application Delivery in 2017

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4. 適切なパイロット・プロジェクトを選択する

パイロット・プロジェクトによって成功を実証することが必要です。その際、賢明な選択をするように気をつけてください。容易に自動化できるものを選んで、早く終わらせてしまいたいと考えるかもしれませんが、それは賢いやり方とはいえません。新たに画一化したITデリバリモデルを実証するためのパイロット・プロジェクトを選択する際には、比較的短い時間で成果が表れ、ビジネスバリューを高める様子が目で見てわかるものを選ぶようにします。これによって、自動化戦略の残りの部分が決まることになります。

結論: デジタル変革とは、テクノロジを用いてビジネスの本質を変えることです。そのためには、インフラストラクチャの自動化、プロセスの標準化、人材の教育が必要です。テクノロジのみに注目していたのでは、手っ取り早い方法で誤ったことをやるという結果を招くことになってしまいます。

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