事業戦略クラウドはデジタル変革の成功要因か、阻害要因か

Executive Summary

クラウドは、多くのメリットを従業員と消費者にもたらしますが、ITアーキテクトにとっては大きな頭痛の種となります。クラウドがデジタル変革に及ぼす影響を評価するときには、簡単に説明することはができません。その答えはほとんど、尋ねる相手次第で異なります。

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クラウドは、多くのメリットを従業員と消費者にもたらしますが、ITアーキテクトにとっては大きな頭痛の種となります。クラウドがデジタル変革に及ぼす影響を評価するときには、簡単に説明することはができません。その答えはほとんど、尋ねる相手次第で異なります。

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クラウドがデジタル変革に及ぼす影響を評価する際、答えは容易には出ません。質問する相手によっても変わるでしょう。

経営幹部にとって、クラウドが成功要因であることはほぼ間違いありません。クラウドはマーケット変化にすばやく適応することを実現してくれます。クラウドへの移行を進めている経営幹部は、多くの場合、はるかに早い段階でイノベーションを達成し、競争力を手中にできます。

ユーザ(社員、消費者、B2Bカスタマ)にとっても、クラウドは幅広い分野で画期的なオンデマンドサービスを提供してくれる重要な貢献要素です。従業員は、あらゆる場所から業務をより効果的、効率的に行うためのクラウドベースのエンタープライズ・アプリケーションにアクセスでき、消費者はSpotifyやUberのようなサービスを24時間365日いつでも簡単に利用できます。またB2Bカスタマは、CRM、HR、データバックアップといったサービスをオンデマンドで利用可能です。

しかし、ITアーキテクトにとって、事はそう単純ではありません。数年前にITインフラストラクチャを一から構築したばかりという新しい企業で働いている場合は、話は簡単です。クラウドは究極の成功要因であり、その採用をためらう理由はありません。

しかし、レガシー・インフラストラクチャ技術からなる基盤を導入している企業で働くアーキテクトの場合、状況はまったく異なります。現在のITエコシステムは相互の微妙なバランスのもと成り立っており、クラウドは重大な阻害要因となりかねません。つまり、インフラストラクチャを変更するには、IT審査委員会の承認が必要になる可能性が大です。そうしなければ、コンポーネントに触れるたびに大きな混乱が生じるというリスクを冒すことになってしまいます。

数年前にITインフラストラクチャを一から構築したばかりという新しい企業で働いている場合は、話は簡単。クラウドは究極の成功要因であり、その採用をためらう理由はない

アーキテクトにとって、レガシー技術からクラウドベースのインフラストラクチャへの移行を強制的に実施するという選択肢はありえません。レガシー・アーキテクチャのなかには拡張性が備わっていないものもあります。レガシー・インフラストラクチャの安定性を保ちつつ、同時にイノベーションを望む業務側の声に応える必要があるためです。

混乱を生じさせることなく、ビジネスニーズに対応するアーキテクチャを構築する – 多くの場合、クラウド化の機会を見つけることを意味しています – にはどうすればいいのでしょう?

抽象化、自動化、API

環境の仮想化によって、すでにいくつかのツールが導入済みです。抽象化はクラウドの基礎といえます。自動化を支援するAPI対応インフラストラクチャに向けた第1歩であり、単にクラウド化を可能にするだけでなく、個々のプロセスの改善にも役立ちます。

自動化の規模とスピードは、ビジネスニーズによって変わってきます。まずは、APIコールを使った自動化に向けて、手動による反復プロセスを特定するところから始めます。IT変更審査委員会に対し自分の考えを述べ、成功例を使って価値を示し、追加プロセスの自動化に対する支持を取り付けるようにします。

インフラストラクチャ・ベンダーに対する要求

すべてを1人でやる必要はありません。インフラストラクチャ・ベンダーが支援してくれるはずです。

しかし、自分が選択するテクノロジに強力なAPIが備わっているかどうか、どうすればわかるでしょうか? 新しいテクノロジがインフラストラクチャの残りの部分とうまく連携するかどうかを知るにはどうしたらよいのか? 急速に変化するITエコシステムにおいて、持続可能性を確保するには? 自動化済みのプログラマブルな方法で、ハイブリッド化(クラウドとオンプレミスのレガシーインフラが混合)の進むインフラストラクチャの微妙なバランスをとるには?

良いアプローチが1つあります。ベンダーに、「プログラム可能な機能に関するアンケート」に答えてもらうのです。

このアンケートは、次のような問いをベンダーに質問します。

  • どのようなライフサイクル管理を行っていますか?
  • APIのサポートモデルはどのようなものですか?
  • 継続的な導入のためのツールチェーンを確保するには?
  • どういったデプリケーション・ポリシーを採用していますか?

ベンダーの回答が納得のいくものでなければ、採用は見送るべきです。

プログラム可能なインフラストラクチャを、事実上コードのように扱い、「変更を行ったら、インフラストラクチャに混乱が生じますか?」と質問します。ツールチェーンの互換性を破る変更が禁止されているソフトウェア・ライフサイクル管理の観点から、インフラストラクチャを見るようにしましょう。

APIエコノミーへの参画をお勧めします。

クラウドは成功要因であると同時に阻害要因にもなり得る

では、クラウドは成功要因なのでしょうか。それとも阻害要因でしょうか。答は、どのようなテクノロジ投資を選択するかによって変わってきます。阻害が成功につながる場合もあるでしょう。ベンダーの水準が高く保たれていれば――つまり、プログラム可能な機能に関するアンケート調査で満足のいく回答が返ってくるようであれば、クラウドはデジタル変革を可能にする究極の成功要因となります。予測不能なITイノベーションの動きに合わせて、すみやかに変更を行える、高い柔軟性とアジリティを備えたAPI主導のITアーキテクチャがもたらされることになります。従来のITにとって、このことは破壊的な変化であり、高い拡張性と耐障害性を持つ、優れたインフラストラクチャの実現につながる可能性があります。しかし、そのためには、2~5年後のインフラストラクチャのニーズに対応する技術投資を今の時点で行うことが必要です。

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